古着屋はなぜ潰れないのか|利益が残る仕組みと潰れる店の違いが見える!

配送ラベル付きの段ボール箱
古着

街の小さな古着屋が何年も続いていると、不思議に感じる人は多いです。

新作を作らないのに商品が増え続け、セールも少なく見えます。

それでも閉店しない背景には、古着ならではの「儲け方」と「続け方」があります。

同時に、同じ古着屋でもあっさり潰れる店があるのも事実です。

本記事では、古着屋が生き残りやすい構造と、失敗しやすい落とし穴を整理します。

古着屋はなぜ潰れないのか

大量の段ボール箱と梱包資材が並ぶ倉庫内の様子

古着屋が続きやすい最大の理由は、原価と売価の差を作りやすく、固定費も抑えやすいビジネス構造にあります。

さらに、需要の幅が広く在庫が資産になりやすい点が、他の小売よりも粘り強さにつながります。

仕入原価が低くても価値を作れる

古着は「素材」や「状態」よりも、「デザイン」「年代」「サイズ感」「一点物の雰囲気」で値段が決まる場面が多いです。

そのため、仕入れが安くても、見せ方と値付けで十分な粗利を確保できます。

大量に仕入れても、仕入単価が低ければ資金繰りの圧迫が起きにくいのも強みです。

買取型の店は、仕入れの時点で利益が見えやすく、相場変動に対応しやすいです。

  • 買取で仕入単価を抑える
  • 洗いと補修で見栄えを上げる
  • 一点物の文脈を付ける
  • 売り場で価値を可視化する

ロングテールで在庫が「死ににくい」

新品アパレルは季節と流行が外れると急激に売れにくくなります。

一方で古着は、流行の中心ではなく「好みの多様性」に支えられる商品が多いです。

売れ残りが即不良在庫にならず、時間をかけて売れる商品が一定数あります。

この性質が、値下げで利益を削り続ける消耗戦を避けやすくします。

売れ方 即売れと後追い売れが混在
値下げ圧力 新品より弱い傾向
在庫の意味 品揃えが集客になる
回転の作り方 入荷導線と棚替えで更新

需要がトレンドだけに依存しない

古着の需要は、流行だけでなく、カルチャーやコミュニティに紐づくことが多いです。

例えばミリタリーやワーク、スポーツ、バンドTなどは、一定のファン層が継続して存在します。

需要が分散しているほど、特定の流行が終わっても売上がゼロになりにくいです。

店側も、強いジャンルを軸にしつつ周辺ジャンルを混ぜて安定を作れます。

  • ジャンル特化で指名検索を取る
  • 周辺ジャンルで客層を広げる
  • 季節の谷を小物で埋める
  • 定番と尖りを共存させる

「探す体験」が価格競争を弱める

古着屋の価値は、商品そのものだけでなく「掘り出し物を見つける体験」にもあります。

体験価値が高いと、顧客は単純な最安比較ではなく満足感で購入を判断します。

その結果、同じカテゴリでも価格競争が起きにくく、利益を守りやすいです。

棚の作り方や導線、POPの言葉選びが、その体験価値を左右します。

体験の核 偶然の発見と物語性
価格への影響 最安より納得感が優先
売り場施策 入荷更新の見える化
リピート要因 来るたびに違う棚

小さく始めて固定費を抑えられる

古着屋は、少量在庫と小さな区画からでも始めやすい業態です。

家賃や人件費を抑えて運営すれば、売上が安定するまで耐えられます。

内装にお金をかけすぎず、什器と照明だけで雰囲気を作る店も多いです。

固定費が低いほど、売上の波に強くなります。

  • 小箱で始める
  • 営業時間を最適化する
  • 一人体制を基本にする
  • 家賃の上限を決める

販路が複数あるため売れ残りを逃がせる

店頭だけでなく、ECやフリマ、ライブ配信など販路が増えました。

販路が複数あると、店頭で動かない商品も別チャネルで回収できます。

特にサイズが特殊な商品やニッチなジャンルは、オンラインの方が買い手が見つかりやすいです。

在庫の出口が多いほど、資金が詰まりにくくなります。

店頭 体験と衝動買いに強い
EC 検索で刺さる商品に強い
フリマ 回転重視の処分に向く
卸し まとめて資金化しやすい

市場全体が拡大して追い風がある

リユース市場は拡大が続き、古着もその流れに乗っています。

例えばリユース市場規模の推計では、2024年は3兆2628億円という数字が報じられています。

またファッションリユース市場も、2024年に1兆2800億円の見通しが示されています。

市場が伸びる局面では、新規店が出ても需要が吸収されやすく、潰れにくさにつながります。

  • 市場規模の拡大が続く
  • 新品高騰でリユース志向が強まる
  • 循環型の価値観が広がる
  • インバウンドで高単価が動く

潰れない店がやっている仕入れの工夫

カッター、ハサミ、テープ、メジャーなどの梱包作業に使う道具一式

古着屋の強さは、仕入れの設計でほぼ決まります。

感覚だけで買い付けるのではなく、回転と粗利を同時に管理するのが長続きの基本です。

買取価格を「店の利益」から逆算する

買取型の古着屋は、売価から逆算して買取価格を決めるとブレが減ります。

売価が同じでも、洗いと補修、撮影と出品など手間が増えるほど実質原価は上がります。

そのため、作業コストを見込んだ上で買取上限を決めることが重要です。

これを仕組みにすると、忙しい時期でも利益が残りやすくなります。

基準 想定売価から逆算
差し引くもの 作業コストと販売手数料
狙う形 粗利が一定以上残る
注意点 人気の波で相場が動く

仕入れチャネルを分散して偏りを防ぐ

仕入れ先が一つだと、相場や供給の変化で一気に苦しくなります。

買取、業者オークション、卸し、個人からの委託など、複数チャネルを持つ店は強いです。

チャネルごとに得意ジャンルを決めると、仕入れの質も安定します。

分散は、品揃えの幅を広げるだけでなく、仕入単価の急騰を避ける保険にもなります。

  • 買取で安定供給を作る
  • 卸しで型を揃える
  • オークションで尖りを足す
  • 委託で資金負担を減らす

検品とメンテで売れる状態に整える

古着は状態が価値を左右するため、検品とメンテの精度がそのまま利益になります。

穴やシミ、匂いはクレームにも直結するので、出す前に基準を明確にします。

直せるものと直せないものを分け、直せないものは仕入れ段階で避けます。

仕入れが強い店ほど、検品の基準が言語化されています。

見る点 シミと破れと匂い
やること 洗いとスチーム
表記 状態を正直に書く
線引き 補修工数が重い物は避ける

回転を作る値付けと棚替えを習慣化する

潰れない店は、値付けが「好み」ではなく「回転」で設計されています。

利益を取りたい商品と、回転を作る商品を分けておくと、在庫が詰まりにくいです。

また棚替えで見え方を変えるだけでも、同じ在庫が別物に見えて動くことがあります。

値付けと棚替えを習慣にすると、仕入れの判断も精度が上がります。

  • 回転用の価格帯を用意する
  • 高単価はストーリーを添える
  • 入荷を週次で見える化する
  • 棚替えで滞留を動かす

古着屋の利益構造を数字でイメージする

ノートパソコンと文房具が並ぶ木製デスク

古着屋が潰れない理由を理解するには、売上よりも粗利と固定費の関係を見るのが近道です。

とくに在庫が多い業態なので、帳簿上の利益と現金の動きがズレやすい点も押さえる必要があります。

売上より粗利を優先して考える

古着屋は、売上が大きく見えても粗利が薄いと残りません。

逆に売上が大きくなくても、粗利が厚く固定費が低ければ続きます。

このため、日々の判断は「何円で売れたか」より「いくら残ったか」が中心になります。

粗利の感覚を持つと、仕入れの失敗が早く減ります。

見る指標 粗利額と粗利率
優先順位 固定費を先に回収
改善策 値付けと仕入単価の調整
注意点 売上だけの拡大は危険

在庫は資産だが現金を止める

古着屋は在庫が魅力でもありますが、現金が服に変わる点は同じです。

仕入れを増やしすぎると、売れていないのに現金だけが減っていきます。

その状態で家賃や税金の支払いが重なると、黒字でも資金が詰まることがあります。

在庫量を増やす前に、回転の設計を整えるのが安全です。

  • 在庫は現金の変換形
  • 仕入れ過多は資金を止める
  • 支払いタイミングが重なる
  • 回転設計が先

損益分岐点は固定費から逆算する

損益分岐点は、家賃と人件費など固定費の合計で決まります。

粗利率が高いほど、必要な売上は小さくなります。

逆に固定費が高いほど、どれだけ仕入れが上手くても売上の波に耐えられません。

まずは固定費を小さくし、次に粗利を上げる順番が堅実です。

起点 家賃と人件費
次に見る 粗利率
必要な売上 固定費÷粗利率で概算
改善順 固定費削減が先

失敗は「仕入れの加速」で起きやすい

古着屋の失敗で多いのは、売上が伸びた瞬間に仕入れを加速しすぎることです。

売れる手応えがあると在庫を増やしたくなりますが、回転の遅い在庫が混ざると一気に詰まります。

とくに高単価の一点物を仕入れすぎると、売れるまでの期間が伸びて資金が固まります。

伸びる時ほど、仕入れの上限ルールが必要です。

  • 売上増で仕入れが膨らむ
  • 回転の遅い在庫が混ざる
  • 高単価比率が上がる
  • 仕入上限のルールが必要

それでも潰れる古着屋に共通する原因

段ボールにニットを梱包している様子

古着屋は続きやすい構造がある一方で、潰れる店には共通の落とし穴があります。

原因の多くは、仕入れと固定費と集客の三つのどこかに偏りがあることです。

家賃と人件費が先に膨らむ

おしゃれな立地や広い物件は魅力的ですが、固定費が増えると一気に難易度が上がります。

古着は季節変動があるため、固定費が高いと閑散期に耐えられません。

スタッフを増やす場合も、売上が増える前に人件費が先行しがちです。

潰れる店ほど、固定費が「売れた後のご褒美」ではなく「先に背負う借金」になっています。

危険信号 固定費が売上に対して重い
起きること 閑散期に赤字が続く
よくある原因 立地と内装に投資しすぎる
対策 小さく始めて段階的に拡大

仕入れ基準が曖昧で在庫が濁る

「好きだから仕入れる」だけだと、売れる商品と売れない商品が混ざります。

混ざると棚が濁り、売れ筋も埋もれて回転が落ちます。

回転が落ちると値下げが増え、値下げが増えると利益が減り、仕入れが苦しくなります。

この負の連鎖が、古着屋の閉店パターンとしてよく見られます。

  • 仕入れ基準が言語化されていない
  • 売れ筋の再現ができない
  • 棚が濁って回転が落ちる
  • 値下げで粗利が削れる

集客導線が店頭任せになっている

通りがかりだけに依存すると、天候や季節で売上が大きくぶれます。

潰れない店は、SNSや検索、ECを組み合わせて来店理由を作っています。

入荷情報やスタイリング提案が定期的に発信されると、指名来店が増えます。

店頭任せから脱すると、家賃の高い立地に頼らなくても戦えます。

導線 SNSと検索と店頭
強い発信 入荷と着用例
指名化 ジャンルの軸を作る
安定性 天候依存を減らす

法令と信用を軽視してトラブルになる

古着を継続的に売買する場合、古物営業法に基づく許可が必要になります。

許可や表示、帳簿などを軽視すると、行政対応や取引停止で経営が止まります。

また、ブランド品の真贋や表記の誤りは、信用を一気に失う原因になります。

堅い運営は地味ですが、長く続く店ほどこの部分が整っています。

  • 古物営業法の許可と運用を守る
  • 真贋と状態表記を丁寧にする
  • 返品対応のルールを決める
  • 仕入れの記録を残す

これからの古着屋が強くなる外部環境

クローズアップされた梱包用のプチプチ(気泡緩衝材)

古着屋が潰れにくい背景には、店内努力だけでなく外部環境の追い風もあります。

市場の拡大、循環型の価値観、観光需要などが重なると、需要の土台が厚くなります。

リユース市場の拡大が需要の土台になる

リユース市場は長期的に拡大しており、古着もその一部として認知が広がっています。

リユース市場規模の推計では、2024年に3兆2628億円という数字が示されています。

また、ファッションリユース市場については、2024年に1兆2800億円という見通しが公表されています。

数字が示すのは、古着がニッチではなく生活の選択肢として定着してきたということです。

指標 市場規模の拡大
時点 2024年
根拠 リサイクル通信矢野経済研究所
含意 需要の母数が増える

衣類が手放される量が多く供給が途切れにくい

古着屋が続くには、売れる前に「仕入れられる量」が安定している必要があります。

衣類の流れを扱う資料では、家庭から手放される衣類の量が大きいことが示されています。

こうした供給の厚みがあると、買取や回収の仕組みを作った店は仕入れが途切れにくいです。

出典としては、衣類のマテリアルフローをまとめた資料が参考になります。

  • 家庭から手放される衣類が多い
  • リユース向けの流れが存在する
  • 回収や買取の設計が効く
  • 根拠資料は衣類のマテリアルフロー

サステナブル志向が購入理由を増やしている

古着は節約だけでなく、環境配慮という購入理由も持ちやすい商品です。

衣類の大量生産と大量廃棄が課題として扱われる中で、リユースは行動として選ばれやすくなっています。

店側も、価格だけでなく価値観の提案ができると、ファンがつきやすくなります。

行政の情報発信も進んでおり、生活者の意識は以前より高まりやすい環境です。

購入理由 節約以外の動機
強い文脈 循環型の選択
店の打ち手 ストーリーの提示
参考 環境省サステナブルファッション

インバウンドが高単価古着を動かす

観光需要の回復は、古着屋の売上にとって大きな追い風です。

訪日外国人旅行者数は2024年に3687万人とされ、過去最高という情報が公表されています。

円安局面では、海外の旅行者にとって日本の古着が割安に感じられ、高単価品が動きやすくなります。

インバウンドを狙う店は、サイズ表記や免税対応などの準備で差が出ます。

  • 訪日客の増加が需要を押し上げる
  • 高単価が動きやすくなる
  • 英語表記で選ばれやすくなる
  • 根拠資料は観光白書概要

古着屋が続く理由を一言で言うと

カッター、ハサミ、テープ、メジャーなどの梱包作業に使う道具一式

古着屋が潰れにくいのは、低い原価で価値を作り、固定費を抑えながら複数販路で在庫を回せるからです。

トレンド依存が弱くロングテールで売れるため、値下げで利益を削り続ける構造になりにくいです。

一方で、固定費の先行、仕入れ基準の曖昧さ、集客導線の不足が重なると、古着屋でも普通に潰れます。

伸びる時ほど仕入れを加速しすぎず、回転と現金の動きをセットで管理することが重要です。

市場拡大やサステナブル志向、インバウンドなど追い風がある今は、基礎を固めた店ほど強くなります。

続く店は特別な魔法ではなく、仕入れと固定費と導線を地味に整え続けているだけです。